褒めてくれたお客様を、無言で帰していませんか。 の挿絵

それはそうです。

星ひとつがつくと、心の中で小さな非常ベルが鳴ります。

「何があったんや」
「誰の対応や」
「これは返さなあかん」

一気に緊張する。

一方で、良いクチコミはどうでしょうか。

ありがたい。
嬉しい。
励みになる。

そう思いながら、意外とそのままにしてしまうことがあります。

「あとで返そう」
「とりあえず、ありがとうございますでいいかな」
「まあ、良い内容だから急がなくてもいいか」

そうしているうちに、数日が過ぎる。

そして、その“あとで”は、だいたい来ません。

私もあります。

人間としては、かなりあります。

これは冷静に考えると、少し失礼な話です。

お客様がわざわざ時間を使って、店の良かったところを書いてくれた。
料理のこと、スタッフのこと、雰囲気のこと、入りやすさのこと。

それなのに、店側が無言。

プレゼントをもらって、袋だけ見て、「あとでお礼を言おう」と思っているようなものです。

しかも、そのあとで袋をどこに置いたか忘れる。

良いクチコミというのは、ただの褒め言葉ではありません。

お客様が、店の魅力を自分の言葉で見つけてくれたものです。

「料理が美味しかった」
「一人でも入りやすかった」
「スタッフさんが親切だった」
「子ども連れでも安心できた」
「また来たいと思った」

これは、店側が広告で言うよりも、ずっと強い言葉です。

お客様の言葉だからです。

だからこそ、そこにどう返すかで、店の人柄が出ます。

ただ「ありがとうございます」と返すだけでも、悪くはありません。

でも、少しもったいない。

せっかくお客様が、店の魅力を見つけてくれたのです。

そこに、

「そのように感じていただけて、本当に嬉しいです」

と返すことができる。

さらに、

「初めてのお客様にも安心して過ごしていただけるよう、そこは大切にしています」

と伝えることもできる。

あるいは、

「次回はぜひ、こちらの楽しみ方も試してみてください」

と、次の来店の理由をそっと置くこともできる。

良いクチコミへの返信は、お礼であり、店の紹介であり、次の接客でもあります。

ただし、ここで前に出すぎると、少し暑苦しくなります。

褒められて嬉しいからといって、急に自分たちのこだわりを全部語り出すと、読んでいる人が少し引きます。

私も気をつけないと、すぐそちら側に行きます。
危険です。

大事なのは、感謝を伝えながら、店の人柄を少しだけ残すこと。

少しでいいのです。

お客様が見つけてくれた魅力に、店側がちゃんと気づいている。
その魅力を大切にしている。
そして、また来てくれたら嬉しいと思っている。

それが伝わればいい。

良いクチコミは、店にとって宝物です。

でも、宝物も、置きっぱなしにするとただの展示物になります。

返信することで、それはもう一度、接客になります。

褒めてくれたお客様を、無言で帰さない。

そこから、Googleマップ上の店先は少しずつ温かくなっていきます。